90 高須村

村別 福岡県地理全誌

福岡県地理全誌巻之三十九 (第五大区) 遠賀郡之一

(三十五小区四村之内)高須(たかす)村

高須村概説

(西南)福岡県庁道程十三里一町余

彊域 東、小敷村(十六町余)。南、浅川村(十町余)。西、山鹿村(三十三町余)。北、乙丸村(二十町)。東北大鳥居村(十八町)に接し、人家は、本村(十九戸)、猿渡の二所にあり。高須は高洲とも書けり。是を正とすべし。村位、下下。地形、平低。運送の便、上(芦屋町一里)。土質、真土青沙交じる。三分乾地、七分湿地。地味、下。田は中晩稲、麦、菜種。畑は蕎麦を作る。吞み水乏しく旱損の患いあり。土産、瓦。

戸口・田圃・租税・山林

○戸口
一 戸数 二十三戸
  平民 
  口数 百十六戸
     内
  一 男 五十七口
  一 女 五十九口

(職分)筆学(男 一人)。農(男 三十人、女 三十一人)。
     雇人(男 五人、女一人)

○田圃
一 田畑段別   十七町八段二畝十三歩
    此石高  百六十四石一斗六升二合五勺
     内
一 田段別    十一町九段七畝十五歩
    此石高  百四十石四斗九升九合五勺

一 畑段別     四町一段四畝十二歩
    此石高   二十三石六斗六升三合

一 大縄田畑段別   一町七段十六歩

○租税
一 米大豆     六十一石三斗一升四合     正租
  此代金    百六十六円八十六銭二厘
           内
  一 米     五十八石一斗七升一合
    此代金  百五十四円五十一銭七厘

  一 大豆      三石一斗四升三合
    此代金    十二円三十四銭五厘

一 米大豆       一石八斗三升九合 雜税
  此代金       五円四厘
        内
  一 口米  一石七斗四升五合
    此代金 四円六十三銭五厘

  一 口大豆     九升四合
    此代金   三十六銭九厘

一 金       六十六銭三厘

○山林
一 山段別 三十一町九段四畝二歩
       内
  一 七段歩               官林
  一 二十八町一段五畝二十二分歩     草山・野山
  一 二町歩               元拝領山
一 一町歩               元証文山
  一 八畝十歩              社山

橋梁・池塘・牛馬・河渠

○橋梁
一 石橋一所(野間川筋四つ辻 民費)  長一間 幅五尺

○池塘
一 池四所
       内
一 一所(赤地 官費)        水面一段五畝歩 水掛田八段五畝歩
   寛文四年(1664)甲辰築立

一 一所(せせりが谷 同上)     水面二段歩 水掛田五反歩
   文政七年(1824)甲申築立

一 一所(大池 同上)        水面四反歩 水掛田五町六段六畝歩

一 一所(氷らか谷 同上)      水面一段二畝歩 水掛田一町八反歩

  以上二所築立年不詳

○牛馬
一 牛 十七頭
     内
  一 牡 七 頭
  一 牝 十 頭

一 馬   三 頭
    牝 

○ 河渠
    江川

東北、大鳥居村界より流れ来たり、村の南を過ぎて曲川に合流して遠賀川に入る。長千三百二間。幅平均六間。平潮一尺五寸。満潮四尺。

神社・仏寺・古蹟

○神社
(村社)戸明神社(村の東一町。丸山と云う所に遙拝所あり)

  小社一所
大歳神社(弥勒山)

○仏寺
  小堂一所
観音堂(中尾)

○古蹟
慈眼庵址
本村の内、中尾にあり。慈楽山慈眼庵とて、浄土宗山鹿村大願寺末にて、慶長中建立せる寺なり。大松の下に観音堂あり。その仏像(坐像高二尺)は行基の作という。

附記(物産)

○附記
   物産
一 米  二百三十一石          生出             
一 麦     二十石
一 大豆     五石
一 小豆     六斗
一 豌豆     二石
一 唐豆  一石
一 蕎麦     六石
一 柿      三千
一 綿     五貫目
一 鶏     五十羽
一 鶏卵    二千
一 鶏卵    千五百       輸出
  此代金   七円五十銭
一 櫨実    七百五十斤
  此代金    九円
一 菜種     二石
  此代金  十二円五十銭
一 瓦     二万七千枚     麻生太七製
  此代金   十円八十銭
一 薪    一万五千斤
  此代金   七円五十銭

総計  金 四十七円三十銭

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